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東京地方裁判所 平成8年(ワ)24402号 判決 1998年3月25日

原告

市川誠

被告

野島庸生

ほか一名

主文

一  被告野島庸生は、原告に対し金二五五六万八〇二五円及びこれに対する平成六年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告住友海上火災保険株式会社は、原告の被告野島庸生に対する判決が確定したときは、原告に対し、金二五五六万八〇二五円及びこれに対する平成六年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、これを五分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  被告野島庸生は、原告に対し、金一億二五六三万三五一一円及びこれに対する平成六年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告住友海上火災保険株式会社は、原告の被告野島庸生に対する判決が確定したときは、原告に対し、金一億二五六三万三五一一円及びこれに対する平成六年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  争いのない事実及び容易に認められる事実

1  原告は、原動機付自転車(以下「原告車」という。)を運転中、平成六年三月四日午後七時三〇分ころ、神奈川県川崎市高津区溝口一〇〇九番地先路上(国道二四六号線)において、本件交通事故に遭った。

2  原告は、本件交通事故により、胸髄損傷、両側外傷性血気胸、第六胸椎椎体骨折、第四、五、七胸椎圧迫骨折、右第一、三、五、六、七肋骨骨折、左第五、六、七肋骨骨折、右鎖骨骨折、右肩鎖関節脱臼、左第五指末節骨開放性骨折、頭部打撲の傷害を負い、平成六年三月四日から同年一一月一〇日までの二五二日間のうち、聖マリアンナ医科大学病院に八一日間入院し、その後東京リハビリセンターに一七一日間入院した。

なお、入院中に皮膚の移植手術を要する重度の蓐瘡を負った。

3  原告は、右傷害により、下半身の機能を完全に失い、直腸・膀胱障害等のため日々排泄の際に器具等を用いなければならない上に、生殖機能を完全に喪失し、足腰も全く動かず生涯車いすを使用しなければならなくなった。

4  原告の右症状は平成六年五月二四日に固定し(甲第五号証)、原告の右後遺障害は後遺障害別等級第一級三号に当たるとされた。

5  原告は、本件交通事故の損害賠償として、社会保険から合計四〇二万九二七五円、自賠責保険から三〇八一万二六五〇円(治療費一万七〇五〇円、諸雑費六万五六〇〇円、印鑑証明代二〇〇円を含む。甲第一八号証)の支払を受けた。

6  被告野島庸生は、被告住友海上火災保険株式会社との間で、自家用普通乗用自動車(川崎五六ま一三二一。以下「被告車」という。)につき、自家用自動車総合保険契約を締結した。

二  争点

1  原告の主張

(一) 本件交通事故の態様について

被告野島庸生は、被告車を運転していたところ、原告車に衝突して本件交通事故を起こした。

したがって、被告野島庸生は、民法七〇九条に基づき、本件交通事故による損害を賠償すべき義務を負う。

(二) 損害について

(1) 休業損害 二〇五万七九四二円

(2) 入院雑費 三二万七六〇〇円

(3) 近親者付添費 一五一万二〇〇〇円

原告の母親が入院中付き添った。

したがって、近親者付添費は、次の数式のとおり、一日当たり六〇〇〇円、入院期間二五二日(前記一2)に基づき算定した金額である。

6,000×252=1,512,000

(4) 近親者通院交通費 四二万八〇四〇円

(5) 車いす代 二二万四三〇〇円

(6) 寝台車代 五万三五〇〇円

(7) 後遺症逸失利益 九二六一万二六〇一円

後遺症逸失利益は、次の数式のとおり、収入五二四万三四〇〇円(賃金センサス平成六年第一巻第一表産業計、企業規模計、旧中・新高卒の男子労働者の全年齢の平均賃金)、労働能力喪失率一〇〇パーセント、四四年に相当するライプニッツ係数一七・六六二七に基づく金額である。

5,243,400×17.6627=92,621,601

(8) 入院慰謝料 二五八万〇〇〇〇円

(9) 後遺症慰謝料 二六〇〇万〇〇〇〇円

(10) 介護料 一六九四万〇五六二円

介護料は、次の数式のとおり、一日当たり二五〇〇円、平均余命五四年に相当するライプニッツ係数一八・五六五に基づく金額である。

2,500×365×18.565=16,940,562

(11) 将来の車いす代 一〇四万一〇三二円

(12) 将来の薬代等 四三五万五五三四円

(13) 弁護士費用 八〇〇万〇〇〇〇円

2  被告らの主張

(一) 本件交通事故の態様について

被告野島庸生は、被告車を運転して、横浜方面から東京方面へ向かう国道二四六号線の上り第二車線を走行していたところ、第一車線を走行していた原告車が、何の合図もなく、被告車の約九・四メートル左斜め前方において、第二車線に向かって転倒しながら進入して来るのを見たため、危険を感じて急ブレーキを掛けた。しかし、被告野島庸生は、急ブレーキを掛けた後、被告車が約二一メートル走行した時点で被告車の左前輪付近に衝撃を感じ、更に約七・五メートル走行した時点で再び左前輪付近に衝撃を感じたためハンドルを右に切り、中央分離帯縁石に右前部を接触させながら被告車を停車させた。

本件交通事故は、右で述べた態様、原告に本件交通事故の記憶がないことからすると、原告は居眠り等をしながら原告車を運転させたことによるものである。

すなわち、被告野島庸生は、原告車の動きを予期できず、本件交通事故を回避する時間的余裕もなかった。

したがって、被告野島庸生には過失がなく、仮に被告野島庸生に過失があったとしても、原告には少なくとも七割五分の過失がある。

(二) 損害について

(1) 休業損害

認める。

(2) 入院雑費

認める。

(3) 近親者付添費

聖マリアンナ医科大学病院は、完全看護であるから、付添いの必要性はない。

仮に付添いの必要性があるとしても、平成六年五月二四日(症状固定日)までの八一日とすべきであり、一日当たり四〇〇〇円とすべきである。

(4) 近親者通院費

聖マリアンナ医科大学病院は、完全看護であるから、付添いの必要性はなく、そのため、近親者通院費も必要性がない。

仮に近親者通院費が必要であったとしても、平成六年五月二四日(症状固定日)までの八一日とすべきである。

(5) 車いす代

認める。

(6) 寝台車代

認める。

(7) 後遺症逸失利益

原告の現実の収入が約三〇二万一〇〇〇円(賃金センサス平成六年第一巻第一表産業計、企業規模計、全労働者の二〇歳から二四歳までの平均賃金)であるから、逸失利益算定の際の収入は、四八四万三六〇〇円(賃金センサス平成六年第一巻第一表産業計、企業規模計、全労働者の全年齢の平均賃金)に基づくべきである。

また、原告は、車いすによる移動が可能であり、上肢に支障がない上に、若年であるから、職業訓練等による就労も可能である。そのため、労働能力喪失率は七九パーセントとすべきである。

(8) 入院慰謝料

入院慰謝料は、原告の入院のうちリハビリテーション目的の入院が一七一日であることからすると、平成六年五月二四日(症状固定日)までの八一日に基づき、一三二万円とするのが相当である。

(9) 後遺症慰謝料

後遺症慰謝料は二〇〇〇万円とするのが相当である。

(10) 介護料

原告は、上肢に支障がなく意識障害もない上に、排泄も自己で行え、車いすでの移動も可能である。また、現在、身障者向け住宅で両親と同居しており、若年であるから職業訓練等による就労も可能である。

したがって、介護料は一月当たり三万円とするのが相当である。

(11) 将来の車いす代

車いすは、平成八年に購入した際、公的補助があったため、原告が現実に支出したのは一一万一二六四円である。

したがって、仮に将来の車いす代が認められるとしても、平成一二年から四年ごととすべきであり、また、金額は一一万一二六四円とすべきである。

(12) 将来の薬代等

将来の薬代等は、心身障害者医療費として公費負担が確定しており、損害賠償の必要性がない。

(13) 弁護士費用

争う。

第三当裁判所の判断

一  本件交通事故の態様について

1(一)  被告野島庸生は、本件訴訟において、<1>原告車が、突然、第一車線から被告車の前方約一〇メートルの所へ進入するや否や、原告車から原告が浮いた状態となり道路に落ちた。<2>原告が原告車から浮いた状態になったので危ないと思ってそのときに初めてブレーキを掛けた。<3>その後、被告車の左前輪付近に衝撃を感じた。<4>被告車が原告車と衝突ないし接触したことはない。と供述する(乙第九号証、被告野島庸生の供述)。

(二)  しかしながら、被告野島庸生は、平成六年三月四日の実況見分の際に、次のように指示説明している(甲第一号証の二)。

(1) 被告野島庸生が、初めて原告車を発見し危険を感じてブレーキを掛けたときの被告車の運転席が別紙交通事故現場見取図記載<2>、そのとき原告車が<ア>。

なお、被告野島庸生は、<2>から三〇〇・四メートル横浜寄り(別紙交通事故現場見取図の左方向)の所を走行していた際、被告車の四二・二メートル前方を走行していた車両のみを注視していた。

(2) 被告野島庸生が、最初に被告車の左前輪付近に衝撃を感じたのが<×>1、そのとき被告車の運転席が<3>。

(3) 被告野島庸生が、再び被告車の左前輪付近の衝撃を感じたのが<×>2、そのとき被告車の運転席が<4>。

(4) 被告野島庸生が、ハンドルを右に切ったとき被告車の運転席が<4>。

(5) 被告車が停止したときの被告車の運転席が<5>、そのとき原告が倒れていたのが<イ>、原告車が倒れていたのが<ウ>。

すなわち、被告野島庸生は、本件訴訟で供述するような本件交通事故の態様(前記(一))を指示説明しておらず(同人が本件交通事故の態様を警察等に話したとしていることは、乙第九号証四項、被告野島庸生の本人調書五頁・六頁・一〇頁・一一頁のとおりである。)、かえって、これらの指示説明からすると、被告車が原告車に衝突した可能性が高い。

なお、被告野島庸生は、実況見分調書(甲第一号証の二)の記載中、ブレーキを掛けたのが<2>とする記載が誤りであって、ブレーキを掛けたのは<3>付近であり、そのことは警察等に話したと供述する(乙第九号証四項、被告野島庸生の本人調書八頁ないし一一頁・二七頁ないし二九頁)が、被告野島庸生の指示説明による右実況見分調書の記載からして、被告野島庸生の右供述は信用できない。

(三)  そして、被告車の状態は、<1>車底部の左前角付近のバンパー下部に取り付けられたプラスチックカバー様部品が左角部の取付け位置から折損欠落しており折損部位傷面が真新しく認められる。この折損欠落部品の後方直近のフック様金具の先端部付近両面に真新しい払拭痕が認められる。<2>左前輪タイヤハウス内側の覆い板が前部の最下部側からめくれ上がるようにして曲損しており、同タイヤハウスの前輪裏側に対面した最下部付近に真新しい払拭痕が認められる。<3>前バンパー左角部付近外側に傷面が比較的滑らかで真新しい擦過痕が認められる。原告車の状態は、右側面の後輪寄りサイドカバーが欠損している。というものである(甲第一号証の一ないし五)。

これらの被告車及び原告車の損傷等の状態からすると、被告車の左前部と原告車の右部が衝突したとうかがえ、このことは、原告提出の鑑定書(甲第二号証一八頁ないし二二頁)及び被告ら提出の鑑定書(乙第八号証七頁ないし九頁)も認めるところである。

(四)  したがって、本件交通事故の態様は前記(二)のとおりであり、<×>1で被告車と原告車が衝突したたため、原告車が転倒し、原告が負傷したと認められるのであって、そのことを否定する被告野島庸生の本件訴訟における供述(前記(一))は信用できない(なお、原告が居眠り運転をしていたことをうかがわせる証拠はない。)。

2  ところで、被告ら提出の鑑定書(乙第八号証一頁・七頁ないし一一頁)は、衝突時において原告車の速度が被告車よりも速かったとしているが、その根拠は、被告車の前バンパー左角部付近外側の擦過痕が、被告車の後方から前方に向かって形成されているというものであるところ、右擦過痕が被告車の後方から前方に向かって形成されているといえるか疑問があること(甲第一号証の二写真七。なお、甲第一一号証三頁も同趣旨である。)からすると、衝突時において原告車の速度が被告車よりも速かったとの右鑑定書の記載を直ちに採用することはできない。

なお、原告提出の鑑定書(甲第二号証二三頁)には、原告車が第二車線に進入した理由を、原告の進路前方左側に停車していた車両がありその右側を通行するためであったとも考えられるとする記載がある(甲第一二号証一〇頁にも同様の記載がある。)が、右記載はそのような可能性があることを示唆するものにとどまる上に、原告の進路前方左側に停車していた車両があったことを裏付ける他の証拠がないことからすると、原告車が第二車線に進入した理由を、原告の進路前方左側に停車していた車両がありその右側を通行するためであったとすることはできない。

3  以上述べた本件交通事故の態様からすると、被告には、先行車に注意を奪われ、原告車が車線を変更して来るのを直前まで気付かずに被告車を走行した過失があり(被告野島庸生の本人調書四頁・五頁参照)、被告は、原告に対し、民法七〇九条に基づき、本件交通事故により原告に生じた損害を賠償すべき義務を負う。

一方、原告には、第一車線から第二車線へ車線変更をする際に、第二車線を走行して来る車両の存否を十分に確認すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠り、漫然と車線変更した過失があり、この過失は六割に相当するとすべきである。

二  損害について

1  休業損害 二〇五万七九四二円

当事者間に争いがない。

2  入院雑費 三二万七六〇〇円

当事者間に争いがない。

3  近親者付添費 一五一万二〇〇〇円

原告の傷害の程度(前記第二の一2)からすると、原告の入院中、完全看護とはいえ更に近親者の付添いが必要と認められる上に、現実に原告の母親が入院中付き添っている(甲第一二号証四頁、第二三号証三頁)。

また、平成六年五月二四日(症状固定日。前記第二の一4)後の入院はリハビリテーションのためのものであるが、原告の後遺障害の程度(前記第二の一3)からして、その必要性が認められる。

したがって、入院付添費は、原告の主張のとおり認められる。

4  近親者通院交通費 四二万八〇四〇円

入院中近親者付添いの必要性が認められる(前記3)から、そのための近親者通院交通費も認められる。

その金額は、甲第一二号証五頁及び第二三号証三頁・四頁によると、原告の主張のとおり認められる。

5  車いす代 二二万四三〇〇円

当事者間に争いがない。

6  寝台車代 五万三五〇〇円

当事者間に争いがない。

7  後遺症逸失利益 九二六一万二六〇一円

(一) 原告の平成五年分(本件交通事故の前年)の収入は二九八万〇七五〇円であった(甲第一三号証)が、原告は、平成六年五月二四日(症状固定日。前記第二の二4)において二三歳であり(昭和四六年四月九日生まれ。甲第五号証)、その後四四年間は就労可能といえることからすると、将来の増収が見込まれるところ、その額は、原告主張の五二四万三四〇〇円(賃金センサス平成六年第一巻第一表産業計、企業規模計、旧中・新高卒の男子労働者の全年齢の平均賃金)を下回らないと認められる。

(二) また、労働能力喪失率は、原告の後遺障害の程度(前記第二の一3)からすると一〇〇パーセントと認められる。

被告らは、原告が、車いすによる移動が可能であり、上肢に支障がない上に、若年であるから職業訓練等による就労も可能であるので労働能力喪失率は七九パーセントとすべきであると主張するが、単に抽象的な可能性を述べるにすぎない上に、原告の後遺障害の程度に照らしても失当である。

(三) そして、就労可能年数四四年(前記(一))に相当するライプニッツ係数は一七・六六二七である。

(四) したがって、逸失利益は、原告の主張のとおり、九二六一万二六〇一円となる。

8  慰謝料 二八五八万〇〇〇〇円

慰謝料は、弁論に現れた諸般の事情を考慮すると、二八五八万〇〇〇〇円とするのが相当である。

9  介護料 一三五五万二五二三円

(一) 原告の後遺障害の程度(前記第二の一3)からすると、介護の必要性が認められる上に、現実に原告の母親が介護している(甲第二三号証二頁)。

そして、介護料は、その内容からして、一日当たり二〇〇〇円とするのが相当である。

(二) また、原告が、平成六年五月二四日(症状固定日。前記第二の二4)二三歳であり(前記7(一))、平均余命が五四年であるところ、五四年のライプニッツ係数は一八・五六五一である。

(三) したがって、介護料は、次の数式のとおり、一三五五万二五二三円となる。

2,000×365×18.5651=13,552,523

10  将来の車いす代 一〇四万一〇三二円

車いす代は二二万四三〇〇円である(甲第一四号証)ところ、原告は、一度目の買換えの際、一一万一二六四円の支出をしただけでそれを超える分は労災保険から給付を受けている(甲第一二号証五頁、第一五号証の一)。

しかしながら、労災保険から給付を受けられるか否か、あるいは、労災保険からの給付内容等は、将来において不確定なものであるから、将来の車いす代を算定する際には、労災保険からの給付を考慮すべきではない。

それゆえ、原告が車いすを購入した平成八年九月三〇日(ただし、このとき支出した金額は一一万一二六四円と確定しているから、この金額が損害となる。甲第一五号証の一)から四年ごとに車いすを買い換える必要がある(甲第一二号証五頁、弁論の全趣旨)。

すなわち、右車いすを買い換える平成一二年九月二九日(原告は、昭和四六年四月九日生まれであるから二九歳となる。甲第五号証)から原告の平均余命四八年の間に一二回車いすを買い換える必要があることになる。

したがって、将来の車いす代は、原告主張の一〇四万一〇三二円を下回らない。

11  将来の薬代等 四三〇万二四八九円

原告は、薬代等として一年当たり二三万四六一〇円必要とするが、今まで公的給付を受けているため、現実の支出をしていない(甲第一二号証三頁、第二三号証二頁・五頁)。

しかしながら、公的給付を受けられるか否か、あるいは、公的給付内容等は、将来において不確定なものであるから、将来の薬代等を算定する際には、公的給付を考慮すべきではない。

それゆえ、本件訴訟の口頭弁論が終結した平成一〇年一月二八日(原告は、昭和四六年四月九日生まれであるから二六歳となる。甲第五号証)から平均余命である五一年の間、薬代等が必要となる。

したがって、将来の薬代等は、次の数式のとおり、四三〇万二四八九円となる。

なお、一八・三三八九は五一年のライプニッツ係数である。

234,610×18.3389=4,302,489

12  治療費、諸雑費及び印鑑証明代 八万二八五〇円

治療費一万七〇五〇円、諸雑費六万五六〇〇円及び印鑑証明代二〇〇円の合計である(前記第二の一5)。

13  損害合計 二五五六万八〇二五円

1から12までの合計が一億四四七七万四八七七円、原告に過失が六割あること(前記一)、既払金が三四八四万一九二五円あること(前記第二の一5)、弁護士費用が本件訴訟の経緯及び認容額からして二五〇万円が相当であることからすると、損害合計は、次の数式のとおり、二五五六万八〇二五円となる。

144,774,877×(1-0.6)-34,841,925+2,500,000=25,568,025

三  結論

よって、原告の請求は、被告野島庸生に対し、金二五五六万八〇二五円及びこれに対する平成六年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払を、被告住友海上火災保険株式会社に対し、原告の被告野島庸生に対する判決が確定したときは、金二五五六万八〇二五円及びこれに対する平成六年三月四日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払をそれぞれ求める限りで理由があるから認容し、その余は理由がないからいずれも棄却し、主文のとおり判決する。

(裁判官 栗原洋三)

交通事故現場見取図

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